黒飛敬 化学研究所博士研究員(現 物質-細胞統合システム拠点 特定助教)、村田靖次郎 化学研究所教授の研究グループは、フラーレンC60の内部に1個の水分子を閉じ込め、その構造を解明しました。この研究成果は、7月29日の米国科学誌サイエンス電子版で公開されました。 研究の背景 水は生命・環境・物質にとって、最も身近かつ重要な物質です。水は化学的にはH2Oと表されますが、通常、H2Oはお互いに強く結合した状態で存在し(H2O…HOH)、その結合は水素結合と呼ばれます。水には他の物質には無い特徴的な性質が多くあります。「沸騰温度が高い」、「固体になりやすい(0℃で凍る)」、「氷になると体積が増える」、「酸やアルカリとして働く」、「物質を良く溶かす」、「油とは混じらない」等、これらは全て水の水素結合による性質です。このようなH2Oの集合体としての性質はよく知られているものの、水素結合を全くもたない
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