2007年7月18日のブックマーク (1件)

  • 「傀儡后」牧野修 | 族長の初夏

    美しくもグロテスクな想像力で「自己と世界の境界」の崩壊を描く、第23回日SF大賞受賞作。サイバーパンクのデジタルジャンク臭と生モノのぐにょぐにょ感を文章のすみずみまでみなぎらせた"テクノ・ゴシック"な作品世界は、既存品にたとえるなら「ブラッド・ミュージック」+「ニューロマンサー」の日版といった趣です。そっち系の小説が好きだけど、もっと病的でデカダンな感じのほうがより好み、というひとにはまさにジャストミートな作品。 ネット中毒者たちが五感の混淆をもたらすドラッグに溺れ、皮膚がゼリー化する奇病〈麗腐病〉が蔓延する現代のバビロン・大阪。その大阪で、20年前に隕石が落ちた爆心地を起点として、世界はじわじわと侵されはじめていた。地上のあらゆるものを「皮膚」と化すべく暗躍する女王・傀儡后をはじめ、さまざまな思惑と秘密を抱いて都市の薄皮一枚下に蠢く人間たち。街も人も、すべてを呑み込み、やがて世界は