30万人のなかから50人の役員、500人の部長はどうやって選ばれていくのか? 「人事はメッセージだ」。豊田章男社長がそう言って憚らないように、人事には社長の考えが凝縮されている。トヨタの人事の裏を徹底取材してみると、トヨタの強さの秘訣から課題までが見えてきた。 取材・文/井上久男 部長になれるのは同期で1割 トヨタ自動車が4月18日からカンパニー制を導入し、「平成の大組織改編」に乗り出した。'16年3月期決算では過去最高益を更新する好業績の中で、敢えて組織を大きく変える狙いは何なのか。 「全員がバッターボックスに立ち、『ナイス・スイング』と声を掛け合おう。これから私は評論家ではなく、バッターボックスに立つ人を評価する。そして空振りの三振は許すが、見逃しの三振は駄目だ。この組織改革が課題を解決するための『ソリューション(解)』ではなく、仕事の仕方を見直すための『オポチュニティー(機会)』と考