はじめに今回はアンティークコインデザイナーのお話です。 イギリスコインの数々の名作を生みだし、天才と誉高いコインデザイナー、ウィリアム・ワイオン(William Wyon)と、彼がデザインした幻のコイン、スリーグレイシス試鋳“金貨”にまつわるお話です。 ウィリアム・ワイオン作の他のコイン記事はこちら <“天才”ウィリアム・ワイオンの経歴>1795年、ウィリアム・ワイオンは代々彫刻師を輩出する家系に生まれ、14歳の時にコインデザイナーであった父・ピーターに弟子入りしました。それからデザイナーとしての才能をいかんなく発揮し、21歳の時には英国造幣局=ロイヤルミントの助手彫刻師に任命され、数々の賞を受賞しながら1828年・33歳の時にロイヤルミント主任彫刻師の座につきます。 その後、56歳で亡くなるまでウィリアム・ワイオンはロイヤルミントの主任彫刻師であり続けました。彼の亡き後も息子のレオナルド