凶弾に斃れてから1年が経った。安倍晋三という政治家は、日本人にとっていかなる存在なのか? その問いに答えるためには、「偉大なる祖父」岸信介との関係をいま一度紐解く必要がある。 孫「安倍晋三」によって蘇った存在 安倍晋三元首相の祖父である「岸信介」の名を聞いたとき、その反応は世代によって異なる。 「太平洋戦争時の閣僚」「A級戦犯容疑者」「60年安保時の首相」「昭和の妖怪」「戦後政治の国粋的潮流の中心」「親米右派の政治家」といった見方が取り沙汰されるのであろうが、最近では若い世代に「旧統一教会との密接な関係」といった見方も浮上している。 90代以上だと、岸は戦時下の閣僚であり、戦後は60年安保時の議会制民主主義の破壊者というイメージがいまだに消えない。70代後半以上は、やはり60年安保時の大衆デモによる「岸(内閣)を倒せ」というシュプレヒコールが耳朶に残っているであろう。 60代以下になると、