世界というのは、自分の目で見るには とてつもなく広くて、大きい。 なのに世の中を知ったような気になって、 代わり映えのない毎日にため息をついたり。 気にも留めない、石、雑草、葉っぱ。 一つ一つを観察してみると、 そこには発見や面白さが無限に潜んでいる。 磯に転がっている無数の石を 一つ手にとって、裏返してみる。 すると、そこには小さな海藻と貝が 身を寄せ合っていたりする。 庭の土をふるいにかけてみる。 小さな生き物がいっぱいいることに気がつく。 自分のいつものこの足もとに。 枝ってこんなに面白かったっけ。 イカってこんなにかっこよかったっけ。 石ってこんなに美しかったっけ。 目の前の風景と、足もとの世界を、 抱きしめたくなる。 なんのために人は生きているのか。 その答えは難しくて、なんだかわからない。 けれど、生きる喜びというのは案外、 毎日転がっているものだ。