スーザン・ソンタグと蓮實重彦の微妙な対話 草森紳一、平岡正明のように没後、その著作が次々に刊行されるのは稀有なことだが、二〇〇四年に亡くなったスーザン・ソンタグものそのひとりといえそうだ。講演・エッセイをまとめた『同じ時のなかで』(NTT出版)が刊行され、その後も、二〇一〇年には、ソンタグの十四歳から三十歳までの日記を息子が編纂した『私は生まれなおしている――日記とノート 1947―1963』(デイヴィッド・リーフ編、河出書房新社)、二〇一二年には、最初に書かれた長篇小説『夢の賜物』(河出書房新社)が出ている。翻訳はすべてソンタグと生前から交友関係の深かった木幡和江氏である。 晩年のスーザン・ソンタグは、9.11直後に、ブッシュ政権の対外政策を痛烈に批判して日本でも話題になったことがあるが、やはり、大江健三郎との往復書簡とか、主に政治的なテーマにからめて語られることが多かったような気がする