本論文では、日本の社会科学、特に家族社会学において「家」概念がいかに構築されてきたのかを、その理論的・社会的文脈にそくして検討した。 日本の社会科学において、「家」ほど日本の「伝統」や「特殊性」を代表してきた表象はない。また戦前・戦後をつうじて、日本独自の理論が最も生産されてきた領域は、家研究・家族研究である。従って、「家」がどのように構築されてきたのかを再検討することは、日本の社会科学そのものを問いなおす作業でもある。 戦後日本の家族社会学では、欧米の「family」である「家族」、特にアメリカ家族社会学にみられる「友愛家族」が目標とされ、日本の家族は「家」、「制度家族」として捉えられてきた。「家族」は確かにfamilyの訳語であるが、戦前の民法では家族集団であるfamilyを「家」、その成員を「家族」と捉えられていた。ところが戦後、「家」を廃止し、新しい「家族」を形成するのだという「民
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東京大学文学部宗教学科卒というと、いまだに「どこの宗教ですか」という質問を受けますけど、おおむね大学生活はすごく楽しかったんです。 ただ、「勉強」に関しては非常に曖昧模糊としたまま選び、曖昧模糊としたまま卒業したというのが実感ですね。ちょうど私が進学振り分けのころ、船曳建夫教授が文化人類学のフィールドワーク的な研究をされていて、すごく人気がありました。私は芝居をやっていたこともあって、演劇や儀礼での人間の表現行為や、人が集まるとどうなるのか、そこで何が見出せるかを勉強してみたかった。ところが芝居ばっかりやっていたので、点数が足らない。さて、どうしようかと思っていたら「宗教学科でやっていることと、そんなに変わらないらしいよ」と友人から聞いて、それで行ったんですが、ほんとに自由で楽しかったですね。意外と、「ここに行かないとこれはできない」というものでもないですね。特に文学部は、「どの切り口で学
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