コロナ禍に花粉症。手持ちのマスクが心もとない。駄目元で、開店前の薬局に家族と交代で並ぶこの頃だ。肌寒い早朝、長い列の後方に、幼い子の手を引いた若いお母さんがいた 【写真】「侍マスク」口コミで広がり…静かな反響 ▼「前、どうぞ」。母子の前にいたリクルートスーツの女子学生が順番を譲った。すると、二つ前の若い女性も「前、どうぞ」。さらに、年配のご婦人も、中年のおじさんも、青年も「前、どうぞ」。小さな善意のリレーは暖かな春風のように ▼店内まで進んだ客は、レジ近くの箱からマスクを取って代金を払っていた。そこへいきなり入ってきた中年の男性が、マスクをつかんだ。列の女性が「割り込みは駄目です」と注意しても、男性は「マスクを取ってから並ぶんだ」と言い放って店外へ ▼男性は企業の管理職風。順番を譲った女子学生を面接するような立場かもしれない。大人であり、社会人の先輩なのに、心が冷える自己中心。みんなマスク