言うまでもないことだが,システム障害は偶然の産物ではない。自然発生的に起こるのではなく,人間が何らかのミスを犯したために起こるものだ。そして多くの場合,システム障害の原因が作られる過程には,開発担当者や運用担当者の油断や手抜き,不注意などが絡んでいる。 システム障害の種をまいた当事者が,その兆しに全く気付かないということは意外と少ない。言葉では表せない不安感が脳裡を一瞬かすめるはずだ。恐らく無意識のうちに警戒心が働くためだろう。 筆者はこれを「システムの神様からの警告」と呼んでいる。不思議なことに,警告を無視すると,必ずと言っていいほど障害が起こる。得体の知れない不安感に襲われたときに,その場で見直すことなく,「まあ大丈夫だろう」と高をくくっていると,必ずしっぺ返しを食らうのだ。神様の警告を無視した罰が下るのかもしれない。 例えば金融機関のシステムで,様々な通貨の金額を表示する機能に不具合