【台北=吉村剛史】昨年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)に抗議漁船団を出した台湾・宜蘭県の蘇澳区漁会(漁協)が今月、中国浙江省温嶺市の漁業団体と民間覚書を交わした。今後、同海域での操業トラブル発生時や海難救助の際は、双方の漁業者が当局を介さずに直接協力し合う。5月10日の日台漁業取り決め施行から約1カ月。尖閣周辺で操業範囲の拡大に成功した台湾側は今度は、同海域で中国との漁業者主体の漁業協力を模索している。 温嶺市は東シナ海に面し、沖縄、台湾と向かい合う。蘇澳区漁会によると、温嶺市の各漁業団体代表者や中国国務院の台湾事務弁公室代表者ら計14人が今月4日、蘇澳区漁会を訪れ、覚書に署名した。 温嶺市と台湾の漁船は尖閣沖で常時遭遇し、過去には中国側による台湾漁船の拿捕(だほ)も起きている。今回、中国側と覚書に署名した蘇澳区漁会の陳春生理事長は、「漁業上の問題を排除するのは漁会の責任」「あくまで緊急時の