映画「ジョーカー」の主人公のように社会への恨みを募らせていたのか――。6月29日、2021年に走行中の小田急線車内で3人の乗客が刺傷された事件で、殺人未遂などの罪に問われている対馬悠介被告(37)の裁判員裁判第3回公判が東京地裁で開かれた。この日、弁護側の被告人質問に立った対馬被告は、初めて公の場で事件を振り返った。事件の背景には抜け出せなかった貧困があった。 【写真】中央大学在学中は「イケメン」と女子から人気があった対馬被告。女性たちと楽しげに写真に収まっていた *** 心が擦り切れた 上下とも黒のシャツ、ズボン姿で法廷に現れた対馬被告は、弁護人の質問に淡々と、時に身振り手振りを交えながら答えた。 まず問われたのは、凶行に至るまでの暮らしぶりだった。事件が起きたのは2021年8月だが、対馬被告は3月から生活保護を受給していて当時は無職だった。 ――どうして生活保護を申請しようと考えた?
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