『キャラがリアルになるとき ―2次元、2・5次元、そのさきのキャラクター論―』(岩下朋世/青土社) マンガの実写作品を観て、落胆したことのある人は少なくないはずだ。そして、こうも思ったことだろう。安易に実写化してくれるな、と。ただ、マンガ史においては、マンガの実写作品は、実写映画のプロモーションとして活用されていたという事情もある。テレビの普及によって映画が斜陽産業と囁かれた時期、映画製作の資金を集めるのにプロモーション用のフィルムを作ろうとすると、俳優を手配し撮影するだけでも多額の費用がかかってしまう。しかも、そのときの俳優を本番でも起用できるかという問題もある。 その点、マンガなら経費は漫画家への原稿料程度で済み、それすら単行本の販売で回収できることから、映画会社がマンガの出版社に出資していたのだ。そしてこのビジネスモデルは、現在でもさほど変わらない。せめて、実写化して良かったと思える