面白い子だなぁ(笑)。 ニケ像の頭の行方を気にした人は初めて見たよ。 ギリシャ彫刻というのは人間の均整、造形美を求めて極められたものなんだな。だから完成品として十分に美しいんだよ。 しかし美学というものはもっと深いんだな。人間がなにゆえ美しいと感ずるのか。 それは悲しいからなんだ。 人間は必ず死ぬ。全てのものは必ず滅びる。その無常観の中で、今ここで輝いている、ということ。どんなに美しいものでも、必ず喪われる、という運命があるからこそ「美しい」と感ずるんだよ。 動物には現在しかないのな。目の前の快不快しかないんだよ。向かうか逃げるかだけなの。だから「美学」は無いんだよ。動物には「美しい」と感ずるものは無いわけ。滅びることを知らないからなんだよな。 華道の本質は、花が萎れ、枯れる、ということにあるのよな。その運命を前提にし、悲しみを抱きながら、今ここに咲いている花を如何に求めるのか、というもの