頭の良し悪しは、生まれつきだ、と信じる人は多い。こういう人達にとって、教育の目的とは、生徒の能力を引き出してのばす事ではなく、生まれつき高い能力を持った生徒を、選別するためにある。 ご承知の通り、受験勉強の中には、何の役に立つのか不明な知識を、沢山覚え込むような面もある。だが、『頭の良さ=生まれつき』論者は、あまり問題を感じないらしい。「記憶という知的能力を選別する事自体に意義があるのだから、試験で覚える知識が有用かどうかは、副次的な問題」という風に、考えるようだ。 また、この種の論者は、しばしば、「優秀な人は何をやらせても優秀だ」と信じる傾向がある。ということで、受験競争という選別プロセスの中で勝ち残った、優秀な人材は、将来どんな分野のどんな職種に進もうと、つねに上位のポジションを与えるべきだ、という理屈になる。 そういう意味で、こうした信憑を持つ人々は、「教育」というものの効用を、二重