文字とは何か?──最古の文字とは?(7) 雅語の普遍性と中国語 金文に刻られた祭祀言語 前回は、甲骨文で書かれた卜辞が占卜という儀式の時に発せられた言葉を記録したものである、ということを述べました。遠く新石器時代から行なわれてきた儀式としての占卜ですから、その場で発せられる言葉にも一種のスタイルがあった。つまり文体があったということを述べました。その決まった文体を記録したものが卜辞であったということです。このような儀式における文体は、次の西周王朝にも見ることができます。それが金文です。 金文というのは青銅器に刻られた文字という意味です。また金文を銘文ということもあります。文字が刻られた媒体に注目した言葉が金文、刻られたこと自体に注目した言葉が銘文です。金といいますといわゆるゴールドの意味の金を連想してしまいますが、ゴールドの方は当時まだ広く知られていなかったようなので、特にゴールドだけを示