黒合板グレープフルーツナイフ 出版社/メーカー: TKGメディア: この商品を含むブログを見る こういう、細くて先の曲がったナイフらしきものを初めてみたのは、米兵と結婚して横須賀の海軍基地の中で暮らしていた叔母の家の台所だ。 これ何?と聞いたら「ああ、グレープフルーツナイフ。皮に沿って差し込むと実が綺麗にとれるの。便利よ」と叔母がすまして答えた。 それで、ひっくり返してしげしげと眺めていたら、母が声をひそめて言った。 「外国の人ってものすごく不器用なのよ。日本人なら包丁一本で大抵のことができるけど、あの人たちはりんごを剥くにもバナナを切るにも何かしら道具がないとダメなの。だからこういう余計な道具がやたらとあるのね。台所が広いからいいんでしょうけど…」 その時の母があんまり気の毒そうな顔をするので、「そんなに不器用なのかあ、可哀想に」と心から思った。 今では日本にもだいぶ、バナナカッターやら
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