ロシア、トルコ、イランに囲まれたコーカサス地域の一国アゼルバイジャン共和国において、2020年9月27日、大規模な軍事衝突が発生した。重火器による砲撃の応酬や攻撃ドローンの投入、戦闘エリア外の民間人居住域への大砲・ミサイルによる攻撃など、衝突はエスカレートの一途を辿った。ロシアの仲介によって、数度にわたり「人道的休戦」が合意されたが、いずれも実効性のある停戦には至らず、戦闘は拡大し続けている。アゼルバイジャン側はすでに戦闘エリアの南部と北部を一部「解放」したと発表している。 以下では、「ナゴルノ・カラバフ紛争」について説明するが、その前に、地理情報について確認したうえで基本的な用語を定義しておきたい。今回の軍事衝突の一方の当事者であるアゼルバイジャン共和国は、人口約1000万人、国土面積は8.66万km2で北海道よりやや大きいくらいである。今回の衝突は、このアゼルバイジャンの南西部約1.2
![第2次ナゴルノ・カラバフ紛争――再び開かれた戦端(立花 優) - アジア経済研究所](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/3acd727ebb78e5045a4fd03986c7f4f894482a9c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.ide.go.jp%2Flibrary%2FJapanese%2FIDEsquare%2FEyes%2F2020%2Fimages%2FISQ202020_030_01.jpg)