「連日、メディアではコロナの話題ばかりです。」 「コロナ疲れしてしまった皆さん、ワイドショーを見るのを辞めましょう。」 「メディアは利益のために、ネガティブなニュースを、大袈裟に取り上げます。」 「どうか無理をせず、テレビを消してください。」 今でこそコロナに慣れ切ってしまった人類たちであるが、かつてはそんな事もよく言われていたものである。 そして母もまた、テレビを消した一人であった。 テレビを消した母は、直接的な言葉で言えばどんどん無知に、どんどんバカになっていった。 家族がそれを話題に出すまで、zoomも、ウーバーイーツも、鬼滅の刃も知らなかった。 レジ袋が有料化した事も、世の中ストローが規制されつつあるのも、店頭で見かけて遅れて初めて知った。 最低限の世間話が出来ないので、会話が成立しない事が増えた。 新聞も読まなければネットニュースも見ない母は、テレビを消したことにより一切の情報源