サークルに、一人の男がいる。 彼は、自分が嫌われていることに関してしょっちゅう嘆いている。 彼は、いつ本当に嫌われてもおかしくない状況にある。 彼はいわゆるオタクだ。アニメが好きで、漫画が好きで、ゲームが好きだ。小説も嗜む。 性格は内向的なところがあり、少々思い込みが激しい。人付き合いは決してうまいとは言えない。 しかし、彼はオタクだから嫌われているのではない。 うちのサークルはそういう系のサークルなので、人付き合いが上手いやつなんてむしろ稀だ。 おっかなびっくりおずおずと、手を伸ばしあっている。 好きな本を勧めあったり、上映会を開いたりして、平和に暮らしている。 お互いが人付き合いが不得手なのを許容しあう空気がある。 しかし件の彼については、どうも勝手が違うようである。 たとえば、彼は、他の人と同じように自分の好きなものを勧めようとする。 相手がそれをすぐに見なければ相手を非難し、そのま