──監督は映画業界に対して危機感を抱いているとのことですが、劇場でかかる映画だけでなく、今は膨大な映像作品が世の中にあふれています。 作品がコンテンツという名前に取って代わられたあたりから、ものすごく変な流れになっていっちゃいましたよね。誰かが10年かけて作った映画も、誰かが寿司屋で醤油さしを舐めている映像も、同じ棚に並べられているわけです。それもただ同然の金額で。 そして再生回数が上がれば、そちらに価値があると見なされる。今は世界がものすごく広大な100円ショップのようになってしまったと思います。 ──あまりに商品数が多すぎて、どれを手にとっていいかも悩みます。 全部を手にとっている時間すらないですからね。もちろん、誰かがものすごく苦労をして作り上げた商品が100円ショップの棚に並んでいるのと同じように、作り手の思いがものすごく込められている作品もある。 でも簡単に手に入るから、気に入ら