以下に掲載するのは、月刊『創』2008年8月号に掲載した一文だ。7月7日発売のその号に連続幼女殺害事件の宮崎勤死刑囚の手記を掲載するため編集作業をしていたさなかの6月17日に、突然、宮崎勤の刑が執行された。だから『創』のその号は宮崎死刑囚の追悼特集になってしまった。宮崎勤とはいったい何者だったのか。その問いに答えるのは、実はそう簡単ではない。以下、当時掲載された一文を再録する。 宮崎勤とはいったい何者なのか。 2008年6月17日の処刑によって、その謎は永遠に閉ざされたままとなった。一方には、彼は全てを計算して精神病を演じていただけだという「詐病説」がある。他方では、彼は統合失調症に冒されていたという元弁護士らの見方がある。私は、詐病説は実情を知らない見方だとしか思えないのだが、宮崎勤が精神的に崩壊していたという見方にも同調できない。 例えば、06年に死刑が確定した時期、私は彼の2冊目の著