ながれたり 夜はあやしく陥りて ゆらぎ出でしは一むらの 陰極線の盲(しひ)あかり また螢光の青らむと かなしく白き偏光の類 ましろに寒き川のさま 地平わづかに赤らむは あかつきとこそ覚ゆなれ (そもこれはいづちの川のけしきぞも) げにながれたり水のいろ ながれたりげに水のいろ このあかつきの水のさま はてさへしらにながれたり (そもこれはいづちの川のけしきぞも) 明るくかろき水のさま 寒くあかるき水のさま (水いろなせる川の水 水いろ川の川水を 何かはしらねみづいろの かたちあるものながれ行く) 青ざめし人と屍 数もしら 水にもまれてくだり行く 水いろの水と屍 数もしら (流れたりげに流れたり) また下りくる大筏 まなじり深く鼻高く 腕うちくみてみめぐらし 一人の男うち座する 見ずや筏は水いろの 屍よりぞ組み成さる 髪みだれたるわかものの 筏のはじにとりつけば 筏のあるじ瞳(まみ)赤く 頬