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青空文庫に関するzunovivaのブックマーク (12)

  • 宮沢賢治 〔ながれたり〕

    ながれたり 夜はあやしく陥りて ゆらぎ出でしは一むらの 陰極線の盲(しひ)あかり また螢光の青らむと かなしく白き偏光の類 ましろに寒き川のさま 地平わづかに赤らむは あかつきとこそ覚ゆなれ (そもこれはいづちの川のけしきぞも) げにながれたり水のいろ ながれたりげに水のいろ このあかつきの水のさま はてさへしらにながれたり (そもこれはいづちの川のけしきぞも) 明るくかろき水のさま 寒くあかるき水のさま (水いろなせる川の水 水いろ川の川水を 何かはしらねみづいろの かたちあるものながれ行く) 青ざめし人と屍 数もしら 水にもまれてくだり行く 水いろの水と屍 数もしら (流れたりげに流れたり) また下りくる大筏 まなじり深く鼻高く 腕うちくみてみめぐらし 一人の男うち座する 見ずや筏は水いろの 屍よりぞ組み成さる 髪みだれたるわかものの 筏のはじにとりつけば 筏のあるじ瞳(まみ)赤く 頬

  • 青空文庫のサクッと読めて面白い小説 21選 < インターネット・IT | RapidHack(ラピッドハック)

    概 要 当サイトは知って得する無駄知識・小ネタ・ライフハックなど、あなたの人生(?)生活をちょっとだけ豊かにするような記事をピックアップする2ちゃんねるまとめブログです。 免責事項 当サイトに掲載されている動画及び画像の著作権は各権利所有者及び、2ちゃんねるに帰属致します。掲載について問題がある場合は、お手数ですが当サイトのContactよりご連絡をお願い致します。 サイト情報 Site Name RapidHack (ラピッドハック) URL http://blog.livedoor.jp/rapidhack RSS http://blog.livedoor.jp/rapidhack/index.rdf Twitter http://twitter.com/rapidhacker Mail info.rapidhack@gmail.com Master まみや

  • 葉山嘉樹 セメント樽の中の手紙

    松戸与三はセメントあけをやっていた。外の部分は大して目立たなかったけれど、頭の毛と、鼻の下は、セメントで灰色に蔽(おお)われていた。彼は鼻の穴に指を突っ込んで、鉄筋コンクリートのように、鼻毛をしゃちこばらせている、コンクリートを除(と)りたかったのだが一分間に十才ずつ吐き出す、コンクリートミキサーに、間に合わせるためには、とても指を鼻の穴に持って行く間はなかった。 彼は鼻の穴を気にしながら遂々(とうとう)十一時間、――その間に昼飯と三時休みと二度だけ休みがあったんだが、昼の時は腹の空(す)いてる為めに、も一つはミキサーを掃除していて暇がなかったため、遂々(とうとう)鼻にまで手が届かなかった――の間、鼻を掃除しなかった。彼の鼻は石膏(せっこう)細工の鼻のように硬化したようだった。 彼が仕舞(しまい)時分に、ヘトヘトになった手で移した、セメントの樽(たる)から小さな木の箱が出た。 「何だろう?

  • 青空文庫 : 作家別作品リスト : 寺田 寅彦

    地球物理学者。漱石の門下生でもあり、吉村冬彦の筆名で作品を書いた。数多くの随筆があり、いまでも多数の読者に愛読されている。 「寺田寅彦」 公開中の作品 アインシュタイン (新字新仮名、作品ID:43074) アインシュタインの教育観 (新字新仮名、作品ID:43075) 赤 (新字新仮名、作品ID:60972) 秋の歌 (新字新仮名、作品ID:24389) 浅草紙 (新字新仮名、作品ID:42218) 浅間山麓より (新字新仮名、作品ID:42255) あひると猿 (新字新仮名、作品ID:2341) 天河と星の数 (新字新仮名、作品ID:60973) 雨の上高地 (新字旧仮名、作品ID:4625) 雨の上高地 (新字新仮名、作品ID:49596) 嵐 (新字新仮名、作品ID:24390) ある幻想曲の序 (新字新仮名、作品ID:24391) ある探偵事件 (新字新仮名、作品ID:42160

  • 宮沢賢治 ひかりの素足

    一、山小屋 鳥の声があんまりやかましいので一郎は眼をさましました。 もうすっかり夜があけてゐたのです。 小屋の隅から三の青い日光の棒が斜めにまっすぐに兄弟の頭の上を越して向ふの萱(かや)の壁の山刀やはむばきを照らしてゐました。 土間のまん中では榾(ほだ)が赤く燃えてゐました。日光の棒もそのけむりのために青く見え、またそのけむりはいろいろなかたちになってついついとその光の棒の中を通って行くのでした。 「ほう、すっかり夜ぁ明げだ。」一郎はひとりごとを云(い)ひながら弟の楢夫(ならを)の方に向き直りました。楢夫の顔はりんごのやうに赤く口をすこしあいてまだすやすや睡(ねむ)って居ました。白い歯が少しばかり見えてゐましたので一郎はいきなり指でカチンとその歯をはじきました。 楢夫は目をつぶったまゝ一寸(ちょっと)顔をしかめましたがまたすうすう息をしてねむりました。 「起ぎろ、楢夫、夜ぁ明げだ、起ぎろ

  • 太宰治 お伽草紙

    「あ、鳴つた。」 と言つて、父はペンを置いて立ち上る。警報くらゐでは立ち上らぬのだが、高射砲が鳴り出すと、仕事をやめて、五歳の女の子に防空頭巾をかぶせ、これを抱きかかへて防空壕にはひる。既に、母は二歳の男の子を背負つて壕の奥にうずくまつてゐる。 「近いやうだね。」 「ええ。どうも、この壕は窮屈で。」 「さうかね。」と父は不満さうに、「しかし、これくらゐで、ちやうどいいのだよ。あまり深いと生埋めの危険がある。」 「でも、もすこし広くしてもいいでせう。」 「うむ、まあ、さうだが、いまは土が凍つて固くなつてゐるから掘るのが困難だ。そのうちに、」などあいまいな事を言つて、母をだまらせ、ラジオの防空情報に耳を澄ます。 母の苦情が一段落すると、こんどは、五歳の女の子が、もう壕から出ませう、と主張しはじめる。これをなだめる唯一の手段は絵だ。桃太郎、カチカチ山、舌切雀、瘤取り、浦島さんなど、父は子供に読

  • 芥川龍之介 かちかち山

    童話時代のうす明りの中に、一人の老人と一頭の兎(うさぎ)とは、舌切雀(したきりすずめ)のかすかな羽音を聞きながら、しづかに老人のの死をなげいてゐる。とほくに懶(ものう)い響を立ててゐるのは、鬼ヶ島へ通(かよ)ふ夢の海の、永久にくづれる事のない波であらう。 老人のの屍骸(しがい)を埋めた土の上には、花のない桜の木が、ほそい青銅の枝を、細(こまか)く空にのばしてゐる。その木の上の空には、あけ方の半透明な光が漂(ただよ)つて、吐息(といき)ほどの風さへない。 やがて、兎は老人をいたわりながら、前足をあげて、海辺につないである二艘(にさう)の舟を指さした。舟の一つは白く、一つは墨をなすつたやうに黒い。 老人は、涙にぬれた顔をあげて、頷(うなづ)いた。 童話時代のうす明りの中に、一人の老人と一頭の兎とは、花のない桜の木の下に、互に互をなぐさめながら、力なく別れをつげた。老人は、蹲(うづくま)つた

  • 駈込み訴え

    太宰治 申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、酷(ひど)い。酷い。はい。厭(いや)な奴です。悪い人です。ああ。我慢ならない。生かして置けねえ。 はい、はい。落ちついて申し上げます。あの人を、生かして置いてはなりません。世の中の仇(かたき)です。はい、何もかも、すっかり、全部、申し上げます。私は、あの人の居所(いどころ)を知っています。すぐに御案内申します。ずたずたに切りさいなんで、殺して下さい。あの人は、私の師です。主です。けれども私と同じ年です。三十四であります。私は、あの人よりたった二月(ふたつき)おそく生れただけなのです。たいした違いが無い筈だ。人と人との間に、そんなにひどい差別は無い筈だ。それなのに私はきょう迄(まで)あの人に、どれほど意地悪くこき使われて来たことか。どんなに嘲弄(ちょうろう)されて来たことか。ああ、もう、いやだ。堪えられるところ迄は、堪えて来たのだ

  • 菊池寛 形

    摂津(せっつ)半国の主であった松山新介の侍大将中村新兵衛は、五畿内中国に聞こえた大豪の士であった。 そのころ、畿内を分領していた筒井(つつい)、松永、荒木、和田、別所など大名小名の手の者で、『鎗(やり)中村』を知らぬ者は、おそらく一人もなかっただろう。それほど、新兵衛はその扱(しご)き出す三間柄(え)の大身の鎗の鋒先(ほこさき)で、さきがけ殿(しんがり)の功名を重ねていた。そのうえ、彼の武者姿は戦場において、水ぎわ立ったはなやかさを示していた。火のような猩々緋(しょうじょうひ)の服折を着て、唐冠纓金(えいきん)の兜(かぶと)をかぶった彼の姿は、敵味方の間に、輝くばかりのあざやかさをもっていた。 「ああ猩々緋よ唐冠よ」と敵の雑兵は、新兵衛の鎗先を避けた。味方がくずれ立ったとき、激浪の中に立つ巌のように敵勢をささえている猩々緋の姿は、どれほど味方にとってたのもしいものであったかわからなかった。

  • 菊池寛 入れ札

    上州(じょうしゅう)岩鼻(いわはな)の代官を斬(き)り殺した国定忠次(くにさだちゅうじ)一家の者は、赤城山(あかぎやま)へ立て籠(こも)って、八州の捕方(とりかた)を避けていたが、其処(そこ)も防ぎきれなくなると、忠次を初(はじめ)、十四五人の乾児(こぶん)は、辛(ようや)く一方の血路を、斫(き)り開いて、信州路へ落ちて行った。 夜中に利根川(とねがわ)を渡った。渋川の橋は、捕方が固めていたので、一里ばかり下流を渡った。水勢が烈(はげ)しいため、両岸に綱を引いて渡ったが、それでも乾児の一人は、つい手を離したため流されてしまった。 渋川から、伊香保(いかほ)街道に添うて、道もない裏山を、榛名(はるな)にかかった。一日、一晩で、やっと榛名を越えた。が、榛名を越えてしまうと、直(す)ぐ其処に大戸(おおど)の御番所があった。 信州へ出るのには、この御番所が、第一の難関であった。この関所をさえ越して

  • 太宰治 トカトントン - 青空文庫

    拝啓。 一つだけ教えて下さい。困っているのです。 私はことし二十六歳です。生れたところは、青森市の寺町です。たぶんご存じないでしょうが、寺町の清華寺の隣りに、トモヤという小さい花屋がありました。わたしはそのトモヤの次男として生れたのです。青森の中学校を出て、それから横浜の或る軍需工場の事務員になって、三年勤め、それから軍隊で四年間暮し、無条件降伏と同時に、生れた土地へ帰って来ましたが、既に家は焼かれ、父と兄と嫂(あによめ)と三人、その焼跡にあわれな小屋を建てて暮していました。母は、私の中学四年の時に死んだのです。 さすがに私は、その焼跡の小さい住宅にもぐり込むのは、父にも兄夫婦にも気の毒で、父や兄とも相談の上、このAという青森市から二里ほど離れた海岸の部落の三等郵便局に勤める事になったのです。この郵便局は、死んだ母の実家で、局長さんは母の兄に当っているのです。ここに勤めてから、もうかれこれ

  • 作家別作品リスト:織田 作之助

    大阪市南区生玉前町生まれ。1935年12月、青山光二、白崎礼三らと同人雑誌「海風」を創刊。1940年4月に、『夫婦善哉』をその「海風」に発表。改造社の第一回文芸推薦作品となる。1941年に満里閣より刊行された『青春の逆説』は発禁処分を受ける。他に『聴雨』『木の都』『世相』など。また、ラジオ・ドラマやシナリオも手がけ、1944年「映画評論」に掲載された脚『四つの都』は、「還って来た男」(監督・川島雄三)として松竹で映画化されている。1946年8月、読売新聞に『土曜夫人』を連載開始。しかし喀血し中断。翌年1月10日、東京病院で死す。 「織田作之助」 公開中の作品 秋の暈 (新字新仮名、作品ID:1041) 秋深き (新字新仮名、作品ID:47505) アド・バルーン (新字新仮名、作品ID:42688) 雨 (新字新仮名、作品ID:42689) 雨 (新字新仮名、作品ID:53804) 馬地

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