液体としての水、水蒸気、氷、それぞれの特徴を物理学と化学の視点から体系的に説いた教科書。 水は地球上にもっとも多量にある化合物であり、すべての生体系の主要成分であるが、その構造と物性は十分に解明されていない。今日の物理化学の立場からの水、氷、水溶液の研究は、“水素結合”の考えが次第に定着しつつあった時点でバナールとファウラーが1933年に発表した論文が原動力となったと言えるであろう。以来、水、氷、水溶液の研究、或いは無機界、生物界において水が果たす重要な役割についての研究が続々行われ、基礎的研究の見地からだけでなく、応用の立場からも最近では環境問題と結びついて、ますます関心が高まり、広義の水に関する種々の国際会議が毎年のように開かれている。 本書は、水に関するおびただしい文献の中から、もっとも重要で信頼のおけるデータを要約し、またこれらのデータを関連づけるような有効な理論を示し、水の物性を