輸出企業にとっては向かい風となる円高が、いまだに続いている。 しかし、円高は必ずしも悪いことばかりではない。輸入では円高メリットがあるし、企業が海外進出や海外投資をする際には円高が有利に働く。そこで企業のなかには「M&A(買収・合併)投資枠」を設けるところが増えている。 耳慣れないM&A投資枠だが、企業がM&Aに備えて一定の資金を振り分けておくものである。企業が保有する資金の一部を単なる余裕資金ではなく、「M&Aを行うために確保している資金」と明確に位置付けるのだ。 その背景には、円高で海外企業が割安に買えるということ以外に、企業の手元資金が膨らんでいることがある。 景気低迷で需要の先細りが懸念されて設備投資がしにくいことなどから、リーマンショック以降、企業は借り入れを減らして債務の圧縮を進めてきた。その結果、手元にある資金がかなり潤沢になってきているのだ。 図を見ていただきたい。バランス