2つのデータの平均値の差を示す代表的な指標の一つがCohen のdです。データの単位や散布度に依存しない指標であるため、心理学を含め様々な領域で使用されています。そして、dの基準として最もよく参照されるのが、開発者のCohen による「0.2を小さい効果、0.5を中程度の効果、0.8を大きい効果」とみなす基準です。 しかし、この基準はいかなる根拠で提案されたものなのでしょうか。また、あらゆる場面で杓子定規に使用できるものなのでしょうか。今回は認知心理学がご専門で、『伝えるための心理統計』を共著された大久保街亜先生にご解説いただきました。 ※今回の記事は、2群の平均値の差の分析に関する入門的な知識があることを前提としています。あらかじめご承知おきのうえお読みください。 Cohen のdを知っていますか? 心理統計の授業を取ったり、本を読んだりしたことがないと知らないかもしれません。心理統計を