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池田信夫に関するh_nakのブックマーク (87)

  • 震災復興の政治経済学 : 池田信夫 blog

    2015年12月27日12:45 カテゴリ 震災復興の政治経済学 東日大震災は、阪神大震災よりはるかに大きな災害だと思われた。おまけに原発事故も重なり、その震災復興予算は25兆円と、阪神の9.2兆円を大きく超えた。たしかに死者・行方不明は1万8000人と阪神大震災の6000人を大きく上回るが、復興のコストにはこんなに大きな差はなかった。 阪神の被災地が建物の密集する都市だったのに対し、「東日」というのは誇張で、ほとんどの被害は岩手・宮城・福島の3県に限定されていた。書の推計ではその被害額は6.7兆円と、阪神の6.3兆円とそう違わない。にもかかわらず過疎地に25兆円もの復興予算がつぎ込まれたことは、さまざまなひずみをもたらした。 他方、地震や津波より大きく報道された福島第一原発事故による放射線障害はゼロだが、過剰報道がいまだに続き、それが風評被害を生んで被災者の帰宅を阻んでいる。

    震災復興の政治経済学 : 池田信夫 blog
  • 「戦後レジーム」に執着する安倍首相 『戦後経済史』

    書の内容は、『戦後日経済史』とほぼ同じである。著者の主張はオーソドックスで、ぶれない。そしてマスコミには受けないが、結局は正しかった。80年代のバブルのときもそうだったし、アベノミクスについても彼の予言した通りになりつつある。 おもしろいのは「戦後レジーム」を否定する安倍首相が、経済政策については祖父のつくった戦後レジームを忠実に守っているという指摘だ。戦後の高度成長を支えたのは、国家総動員法でできた国家社会主義だった。GHQが日を解体して民主化したというのは虚構で、実際には官僚機構がマッカーサーの権威を利用して戦時体制を衣替えしただけだ。 それが成功したのも、それほど不思議な現象ではない。日は戦前すでにGDPが世界第6位の経済大国であり、戦争で半減したGDPが10年で元に戻り、労働人口が2倍になったことが高度成長の最大の原因だ。重化学工業化の局面では、官僚機構による開発独裁が機能

    「戦後レジーム」に執着する安倍首相 『戦後経済史』
    h_nak
    h_nak 2015/06/02
    野口悠紀雄
  • 【GEPR】環境リスクを最小化してはいけない:『気候カジノ』

    これは2015年3月24日の記事ですが、ノードハウスがスウェーデン国立銀行賞(ノーベル経済学賞)を共同受賞したので再掲します。彼の業績は「気候変動の問題を長期的な成長理論に取り入れた」こととされていますが、それは「地球温暖化のリスクを最小化しろ」という話ではなく、温暖化のリスクとその対策のコストのバランスを考える慎重論です。 当たり前のことだが、エネルギー政策は経済問題である。「金か命か」という宗教問題でもなければ、原子力村と反原発派の政治問題でもない。したがって「原子力の比率は何%にすべきか」などという問題はナンセンスであり、その目的は環境リスクをいかに最適化するかである。 これは「最小化」ではない。リスクを最小化するには経済成長をやめればいい。書はそういう宗教的なエネルギー論議ではなく、気候変動を予測するシミュレーションにもとづいて、価格メカニズムによって最小のコストで(経済成長を維

    【GEPR】環境リスクを最小化してはいけない:『気候カジノ』
    h_nak
    h_nak 2015/03/25
    "本書はこの分野の世界的権威があらゆる論点を尽くしており、これという「最適解」は出していないが、立場の異なる人々の議論する共通のプラットフォームになろう"
  • 文明と戦争 : 池田信夫 blog

    2012年08月19日10:42 カテゴリ 文明と戦争 韓国の主張する「歴史問題」のほとんどはでっち上げだが、アメリカ議会やEU議会まで慰安婦決議をしている。このように国際的な情報戦で日韓国に負け続けてきた一つの原因は、その平和主義にある。日人は平和を最優先するのが当たり前だと思っているかもしれないが、英語でpacifismというのは、自国が侵略されても抵抗しない敗北主義のことである。 人間はもともと平和に暮らしていたが、文明によって戦争を起こすようになり、科学が発達して大量殺戮が行なわれるようになった。原子力は人間がテクノロジーを制御できなくなった時代の象徴だ――という通俗的な話は当節流行の原発文明論でよく語られるが、それは逆である。 旧石器時代の人類は平均15%ぐらい殺されていたが、その原因は人間が類人猿より凶暴だったためではなく、道具を使うようになったためだ。石器によって相手

    文明と戦争 : 池田信夫 blog
  • 人類は殺し合いを続けてきた - 『暴力の人類史』

    「イスラム国」による残虐行為は、世界の現実を平和ボケの日人にあらためて思い知らせた。人類の200万年の歴史の中では彼らが普通で、現代の日人はきわめて例外的な時代に生きているのだ。40年前に人類学者が発見し、20年前に考古学者が提唱した「人類は石器時代から殺し合いを続けてきた」という仮説が、いま社会科学を大きく変えようとしている。 書はこの仮説を心理学者が実証データで詳細に実証したものだ。図(クリックで拡大)の最上段が先史時代の戦争による死亡率で、人口の最大60%にのぼる。最下段が現代で、第2次大戦の死者でも世界の人口の2%程度だ。このように時代や文化圏によっても大きく違うが、近代以前の人類は平均して15~20%ぐらいが戦争で殺されていたと推定される。 この比率は成年男子ではもっと高く、半数近くが戦死した社会も珍しくない。つまり数百年前まで、人間の最大の死因は殺人であり、われわれは史上

    人類は殺し合いを続けてきた - 『暴力の人類史』
  • 社会秩序とコミュニケーション : 池田信夫 blog

    2015年02月19日11:29 カテゴリ 社会秩序とコミュニケーション 書は最近のゲーム理論(と実験)のサーベイだが、もうナッシュ均衡の概念はほとんど出てこない。それは第一近似としては意味があったが、多人数のゲームでナッシュ均衡(不動点)を計算することは不可能であり、現実に人々はそんな計算をしていないからだ。 囚人のジレンマもほとんど出てこない。それはジレンマではなく支配戦略の一つに決まったゲームであり、人々はそういう答のわかりきったゲームをしていないからだ。「社会的動学」のモデルはもっと一般的な共通利益ゲームであり、答は複数あって決まらない。 では社会秩序はどうやって維持されているのか。著者の答は、コミュニケーションである。人々は「最適反応」を合理的に計算しているのではなく、ひたすら他人と話し、その行動を学習して模倣しているのだ。そして十分多くのコミュニケーションがあれば、学習によ

    社会秩序とコミュニケーション : 池田信夫 blog
    h_nak
    h_nak 2015/02/27
    "特殊なしくみのようにみえる日本社会の「空気」は、むしろ単純な共通利益ゲームであり、その秩序を維持するために膨大なコミュニケーションで学習していると考えることができる"
  • 農業改革の焦点は「全中の廃止」ではない

    安倍政権の農業改革は、また竜頭蛇尾に終わりそうだ。政府の規制改革会議が5月にJA全中(全国農業協同組合中央会)の廃止を求める提言を出したのを受けて、自民党と公明党は調整を進めていたが、10日決まった改革案では全中の「廃止」は撤回され、「自律的な新たな制度に移行する」という表現になった。 農協の組織を政府が廃止するというのは奇妙だが、全中は農協法で定められ、補助金の受け皿になっている。これを廃止して全国7000の農協の自発的な経営努力をうながそうというのが規制改革会議の提言だったが、今回の決定で骨抜きになった。メディアはこれを批判しているが、質的な問題はそこではない。 日の農業が「補助金漬け」というのは誤解で、直接補助(所得補償)の比率は欧米より低い。最大の問題は、関税や米価などの価格支持で消費者に農業保護のコストを負担させていることだ。OECD(経済協力開発機構)の調査では、日の生産

    h_nak
    h_nak 2015/02/09
    "貿易自由化は生産者から消費者への所得移転だが、これはゼロサムゲームではない。自由化で死荷重がなくなると、社会全体としての利益が増える""関税を所得補償に切り替えれば、消費者も生産者も利益を得る"
  • カルトを合理的に理解する : 池田信夫 blog

    2015年01月24日15:24 カテゴリ科学/文化 カルトを合理的に理解する イスラーム国のような狂気のカルトを合理的に理解することは常識的には不可能だが、まったくナンセンスな組織があれだけの規模になるはずがない。そこには彼らなりの合理性があるはずだ(この合理性は「論理的に矛盾していない」という意味で、望ましいという意味はない)。 書は、ローマ帝国に弾圧されたカルトだったキリスト教が、逆に国教になるまでに成長した原因を、合理的に理解しようと試みる。もちろん史料が限られているので、多くは推測の域を出ないが、マクニールも指摘しているのは、疫病の影響である。彼はこの時期に人口の1/4から1/3が疫病で死んだと推定している。 疫病は、死の危険という点では戦争と同じだが、その原因をコントロールできない。予防も治療も(当時の医療技術では)不可能なので、残された救済の方法は来世で幸福になれると信じる

    カルトを合理的に理解する : 池田信夫 blog
    h_nak
    h_nak 2015/01/26
    "来世型の宗教は現世が不幸な時代に大流行する" "ローマ帝国に弾圧されたカルトだったキリスト教が、逆に国教になるまでに成長した原因"→"疫病の影響"説
  • ピケティと主権国家 : 池田信夫 blog

    2015年01月04日18:06 カテゴリ法/政治 ピケティと主権国家 ピケティは、レジオン・ドヌール勲章を拒否した。「名誉ある人を決めることが政府の役割だとは思わないからだ」という。ここには彼の国家観がよくあらわれている。『21世紀の資』の冒頭に掲げられているのは、フランス人権宣言の第1条である。人は自由かつ権利において平等(egaux en droits)なものとして生まれ、生存する。社会的差別は、共同の利益に基づくものでなければ設けられない。ここにいう平等は、日人のイメージする結果の平等ではなく、すべての人が等しく同じ人権をもっているという同等性である。これは今では自明にみえるかもしれないが、1789年にはそうではなかった。特定の国にも身分にも依存しない人権という概念は、それまでヨーロッパにはなかった。 バークは、このような普遍的な人権という思想を批判した。すべての人間が「同じ人

    ピケティと主権国家 : 池田信夫 blog
    h_nak
    h_nak 2015/01/07
    "資本が国家から自由になってオフショアに集まると,可処分所得の不平等は拡大し,財政をおびやかす""ピケティは経済システムとしての資本主義は守るべきだとしつつ,国家を守るために「グローバルな資本課税」を提案"
  • 増税を延期しても景気はよくならない : 池田信夫 blog

    2014年11月09日13:28 カテゴリ経済 増税を延期しても景気はよくならない まさかとは思うが、消費税の増税を延期して解散という話が、自民党内でも検討され始めたようだ。政局はよくわからないが、今まで何度も書いた常識的な事実をおさらいしておこう。 1.景気悪化の最大の原因は消費増税ではない:1997年の4~6月期と比べて、今回のほうが消費の落ち込み幅が大きい。増税率はほとんど同じなので、これは論理的には増税以外の要因が大きいことを示している。図1でもわかるように、生産指数のピークは今年1月であり、4月に大きく落ち込んだわけではない。景気の悪化している最大の原因は、人手不足やエネルギー価格上昇などの供給制約である。 図1 鉱工業生産指数 2.増税の影響は一過性である:図2のように1997年の4~6月期には成長率がマイナスになったが、10~12月期にはプラスに回復した。98年に入ってGDP

    増税を延期しても景気はよくならない : 池田信夫 blog
    h_nak
    h_nak 2014/11/10
    プライマリーバランスを黒字にするには→ b. 実質成長率1%:インフレ率13.8%
  • 合理的個人という物語 - 『人間らしさとはなにか?』

    ★★★★★(評者)池田信夫 人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線 著者:マイケル・S. ガザニガ 販売元:インターシフト 発売日:2010-02 クチコミを見る 著者は脳神経科学の第一人者であり、特に分離脳の研究者として知られる。彼の行なった次の有名な実験は、脳科学の入門書によく出てくる: 分離脳の患者の視野をまん中で仕切って右と左が別々に見えるようにし、右目(左脳)にはニワトリの足先を見せ、左目(右脳)には雪景色を見せた。そのあと患者に見えたものと関係のある絵を選ぶようにいうと、右手(左脳)でニワトリ、左手(右脳)でシャベルを選んだ。そこで患者に「なぜニワトリを見てシャベルを選んだのか?」と質問すると、「ああ単純なことです。ニワトリ小屋を掃除するにはシャベルが必要だから」と答えた。(書p.415) この患者の言語中枢は左脳にあるので、右脳(左目)が雪景色を見たこ

    合理的個人という物語 - 『人間らしさとはなにか?』
  • 独裁政権はなぜ一斉に倒れるのか : 池田信夫 blog

    2011年02月25日10:21 カテゴリ法/政治 独裁政権はなぜ一斉に倒れるのか チュニジアに始まった中東のドミノ現象は、リビアで最大の山場を迎えている。ムバラクは30年、カダフィは40年以上も続けてきた独裁政権が、なぜ数ヶ月の間に一斉に倒れるのだろうか。これは前にも紹介した協調ゲームの応用問題である(利得a>b>0は対称とする)。 自由独裁自由 a  0 独裁 0  b いま人々が独裁に甘んじているとすると利得はbだが、全員が一挙に独裁に反抗し、政権を倒して自由になれば、利得はaに上がるとしよう。このときナッシュ均衡は複数あり、どちらが焦点(focal point)に選ばれるかは初期値に依存する。パレート効率的なのはaだが、独裁bから出発すると自分だけカダフィに反抗しても殺されて利得は0になるので、独裁政権に服従するbがナッシュ均衡になる。この「恐怖の均衡」が40年間つづいてきたと考え

    独裁政権はなぜ一斉に倒れるのか : 池田信夫 blog
    h_nak
    h_nak 2014/09/04
    "他人が閾値x=b/(a+b)以上の確率で反乱すると予想する場合は、協調して反乱を起こすことが合理的になる""独裁政権がドミノ的に倒れるのは、隣の国で倒れたという事実が突然変異の予想確率を高め…事後確率が高まる"
  • <つくる>と<なる> : 池田信夫 blog

    2014年08月20日00:54 カテゴリ <つくる>と<なる> 木田元氏が死去した。彼の専門はハイデガーだが、私が一番おもしろかったのは『マッハとニーチェ』である。西洋的な合理主義に反抗する危険思想だったニーチェが、日では何の抵抗もなく受け入れられたのは、日人が「天然ニヒリスト」だからだろう。 書はもっとポストモダン寄りで、ここでも丸山眞男が出てくる。西洋の存在論は、世界を<つくる>ものと考えているというのがハイデガーの批判で、彼はニーチェの延長上で<なる>ものとして存在論を考える。その延長上にあるのが、丸山の「古層」だという。ハイデガーが<つくる>存在論を克服しようとしたのに対して、丸山は初期には<なる>政治意識をプレモダンなものとして克服しようとした。しかし丸山も晩年には、両者を並列して見ていた。彼の「古層」にはフーコーも注目してフランスにまねき、レヴィ=ストロースは手紙をく

    <つくる>と<なる> : 池田信夫 blog
    h_nak
    h_nak 2014/08/20
    木田元氏"西洋の存在論は、世界を<つくる>ものと考えているというのがハイデガーの批判で、彼はニーチェの延長上で<なる>ものとして存在論を考える。その延長上にあるのが、丸山の「古層」"
  • マッハとニーチェ : 池田信夫 blog

    2009年12月16日13:58 カテゴリ科学/文化 マッハとニーチェ スパコンをめぐるドタバタで、行政刷新会議は討論会を開こうとしているが、文科省は既定方針どおりで強行突破をはかっている。こうなると、ゼネコンもITゼネコンも同じようなものだ。イノベーションにとって何が必要かを、当の科学者も理解していないのは憂になる。 いま私の書いているイノベーションについてのの出発点は、マッハである。彼の名前は、世間ではジェット機の速度の単位でしか知られていないだろうが、書も指摘するように彼は20世紀の思想の源流ともいうべき存在で、ニーチェもフッサールも彼の影響を受けた。アインシュタインはマッハの追悼文でこう書いている:私の仕事にとってマッハとヒュームの研究が非常に助けになった。マッハは古典力学の弱点を認め、半世紀も前に一般相対性理論を求めるのにあとちょっとのところまで来ていた。[・・・]マッハ

    マッハとニーチェ : 池田信夫 blog
  • 反哲学入門 : 池田信夫 blog

    2009年07月18日01:09 カテゴリBooks 反哲学入門 池袋のジュンク堂で「木田元書店」というのをやっている。といっても、7階の片隅に木田氏の著訳書と蔵書が並べてあるだけだが、入口に書がたくさん積んであったので、既視感もあったが買ってみた。著者は「反哲学のなんとか」というを何冊も書いていて、どれも似たような内容だが、書が一番まとまっていてわかりやすい。 「反哲学」という言葉には、そもそもphilosophy(知を愛すること)を「哲学」などと訳したのが誤訳だという意味もこめられているのだが、解説の中心は何といってもプラトン以来の哲学を全面的に否定したニーチェである。日では、ニーチェというと『ツァラトゥストラ』の文学的なイメージでとらえられることが多いようだが、あれは来の「主著」の導入ともいうべき叙事詩で、ニーチェの質は『力への意志』と名づけられている未完成の遺稿を読まな

    反哲学入門 : 池田信夫 blog
  • 朝日新聞という病 : 池田信夫 blog

    2014年07月06日13:09 カテゴリメディア 朝日新聞という病 私がマスコミに勤務していた20年前に比べると、インターネットの世界は激変したが、マスコミは驚くほど変わらない。最近の集団的自衛権をめぐる朝日新聞の報道は異常というしかない。7月2日の紙面は、次のような見出しで埋め尽くされている。 平和主義覆す解釈改憲 「強兵」への道 許されない 危険はらむ軍事優先 周辺国刺激 緊張招く懸念 抑止力 逆に低下する恐れ ねじ曲げられた憲法解釈 「自衛措置」強引に拡大 論理の暴走 戦前と同じだ 私が入社試験を受けたとき、朝日新聞の役員のリベラルな感じはNHKの官僚的な感じより好感がもてたが、サツ回りはしたくなかったので朝日の内定を断った。私が最後に現場にいたのは1993年に細川内閣のできる前だったが、朝日の圧勝だった。首班指名の前に朝日は1面で「細川首相」、読売は「羽田首相」という大見出しを掲

    朝日新聞という病 : 池田信夫 blog
    h_nak
    h_nak 2014/07/07
    "儒教国家では権威(学問的知識)と権力(肉体的暴力)を官僚に集中させたが、キリスト教国家では両者を聖俗に分離した。(…)学問が現実的権力を失うと形骸化する一方、権力が精神的権威を失うと堕落する。"
  • 教育の失敗が国を滅ぼす -『近代中国史』

    都議会のヤジ騒動では、海外メディアが「日は男尊女卑の儒教社会だ」という類のオリエンタリズムを振り回しているが、日は儒教とは根的に異なるボトムアップの平等社会である。この違いを日人も理解していない。 書も指摘するように、中国で「国」という概念に含まれているのは皇帝と行政府だけで、民衆は含まれない。人口比でいうと0.1%以下の「官」の世界だけが国だから、「国を守る」とは「王朝を守る」ということに等しい。このような階級社会を維持する上で重要なのは、頭脳労働と肉体労働の分離である。 人体を頭脳がコントロールするように、民衆を皇帝がコントロールするのであって、その逆であってはならない。多くの社会では階級は貴族身分として世襲されたが、中国は頭脳労働を官僚機構という形で組織化した点で先進的だった。宋代以降、人口が流動化すると、地方を支配する貴族の力が弱まり、皇帝と官僚による一元支配が強まった。

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    h_nak 2014/07/01
    "階級社会を維持する上で重要なのは、頭脳労働と肉体労働の分離""社会の発展する最大のエネルギーは頭脳労働(人的資本)だが、それを特権化して教育内容を固定化すると国が滅びる"
  • 財政=軍事国家の衝撃 : 池田信夫 blog

    2014年03月06日20:30 カテゴリ 財政=軍事国家の衝撃 資主義の質は、新古典派経済学のような均衡理論ではわからない。それを進化論的にとらえるオーストリア学派も、資主義の最大の強みである巨大な資蓄積を理解するには不十分だ。私は、資主義の質は戦争だと思う。それは競争の比喩ではなく、文字どおりの戦争である。 書はこれを主題にし、強い君主が不在で「ヨーロッパでもっとも国家らしくない国家」と考えられていたイギリスが、なぜ強力な財政=軍事国家になり、18世紀以降の激しい戦争を勝ち抜いたのか、という謎を解明している。それは一般には「産業革命」で豊かになったためと考えられているが、イギリスの18世紀の成長率は年率1%弱で、フランスより低かった。では何がイギリスの強さの原因だったのか。 その一つの原因は、オブライエンも指摘する国債などの金融市場の発達である。イギリスが「産業資主義

    財政=軍事国家の衝撃 : 池田信夫 blog
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    h_nak 2014/03/07
    "イギリスの18世紀の成長率は年率1%弱でフランスより低かった"イギリスの強さの原因→1.国債などの金融市場の発達.軍事費も国債で調達 2.都市化により労働人口の流動性が高まり,都市では輸送・通信手段が発達 3.法の支配
  • 「消えゆく手」とカリスマ的支配 : 池田信夫 blog

    2014年02月26日19:16 カテゴリ 「消えゆく手」とカリスマ的支配 独裁と民主制のトレードオフは、企業理論にも当てはまる。20世紀前半までは資主義が組織化され、チャンドラーのいうように「見えざる手」から「見える手」に移行する時代だった。そのまま企業は果てしなく巨大化するかと思われたが、1980年代以降に逆転し始めた。これを著者は消えゆく手と呼ぶ。 この原因は、コース以来の取引費用理論によれば最適規模の縮小である。企業は大きくなると規模の経済は大きくなるが、官僚制の「合理的支配」によってイノベーションが困難になる。これに対して、ウェーバーのいうカリスマ的支配で独裁にすれば「革命」が可能になる。取引費用が小さくなると、コア事業以外をアウトソースする水平分業が可能になる。こういう個人資主義は、一見18世紀の初期資主義に似ているが、実態は逆である。産業革命期には輸送コストが大きく、

    「消えゆく手」とカリスマ的支配 : 池田信夫 blog
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    h_nak 2014/02/27
    日本企業は"非公式の慣習による伝統的支配で取引費用を節約し、最適スパンを小さくした""前例主義でイノベーションが生まれにくい""取引費用が大きく下がると、リーダーシップの強いカリスマの独裁が有利になる"
  • 「作家」の消失 : 池田信夫 blog

    2014年02月07日10:22 カテゴリ科学/文化 「作家」の消失 佐村河内事件は、「現代音楽」の追い込まれた袋小路を象徴している。18世紀までの音楽は、作曲者によって演奏される娯楽産業だった。ハイドンやモーツァルトなどの高級な音楽は、貴族がスポンサーになって育てた。しかしベートーヴェンは音楽を「純文学」にし、啓蒙思想の表現にしてしまった。第9の終楽章の、大衆が参加して人類の進歩に向かって前進する「エイエイオー」の気持ち悪さは、同時代人にも批判された。 19世紀のロマン派は、感動という商品を生み出した。合理化され、機械化された日常から逃避するため、人々は甘い旋律と重厚な響きを求めた。音楽は、神の死んだ時代に人々を救済する物語となったのだ。ニーチェが最初はワーグナーに求め、そして最後は強く憎悪したのは、このような神の代理を演じる作家の俗物性だった。 20世紀の音楽は、このような感動を拒否す

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