→紀伊國屋書店で購入 小学校中・高学年のとき、「演劇」と称するごっこ遊びが流行っていて、それはたいてい、シンデレラをはじめとするお姫様もののおとぎ話や、『小公女』や『嵐が丘』や、それを下敷きにしたような少女マンガや昼メロドラマがまぜこぜになったお話なのだった。 舞台は西洋風のお屋敷。奥様、お嬢様(やさしいお嬢様と意地悪なお嬢様がいる)、そして召使いがおきまりのキャスト。脚本があるわけではなく、やっているうちに何となく話が進んでいくもので、たいていはなんの創造性もないベタな筋書きだが、たまに、誰かの不意の台詞やアクションが思いもよらない展開を呼んだりもする。しかし、あそこで皆がしたかったのは、「意地悪な金持ち奥様・お嬢様VS貧しいメイド」の図そのもの、俗に言う「プレイ」みたいなものだったのだと思う。 そしてみな、いじめられる側のメイド役をやりたがるのだった。これに抜擢された子は、黒いワンピー