バブル崩壊後の不況期に学校を卒業し、就職難や生活難に苦しんできた就職氷河期世代。今から10年ほどで、この世代は年金受給世代となる。老後の所得保障、生活保障の在り方をどう考えるべきなのだろうか。 就職氷河期世代の老後は大丈夫か 就職氷河期世代は、雇用環境が厳しかった1990~2000年代に就職活動を行った世代である。本稿の執筆時点(2023年)では、年齢が40歳前後から50歳代前半となっている。この世代には就職活動がうまく行かず、非正規雇用を繰り返し、相対的に低い賃金に甘んじている人たちが多いと言われる。しかも、いまから10年ほど経つと、この世代は年金を受給し始めることになる。懸念されるのは、現在の公的年金制度が彼らの老後の所得保障に十分な仕組みになっているかという点である。 日本の年金制度は、2階建て構造になっている。65歳になれば、すべての国民が職種に関係なく共通して受け取る、定額の国民