「デフレ脱却」を掲げた安倍政権は「インフレ→企業収益の拡大→賃金上昇→消費拡大→景気上昇」という経済の「好循環」が起こるといっていたが、1年たって現実はどうだろうか。まずインフレで一部の輸出企業の収益は改善したが、日本全体としては貿易赤字になり、成長率も下がった。この結果、今年1月の現金給与総額は前年比-0.2%、実質賃金は-1.8%となった。これは当然だ。 実質賃金=名目賃金-物価上昇率 だから、給与総額が上がらないのに物価だけ上がったら実質賃金は目減りする。これに反発が強まっていることから、政府は企業に「賃上げ要請」を繰り返してきた。甘利経済再生担当相は「利益が上がっているのに賃上げしないのは好循環に非協力だ」といい、大手企業の経営者を集めて政労使会議を開いて賃上げを要請してきた。 さらに政府は東証一部上場企業1800社を対象に春闘の賃上げ状況を調査し、非協力的な企業名を公表するという