西洋社会を学ぶ意味 連載──政治学を読み、日本を知る(1) 欧米の政治学とどう向き合うか 日本の政治学において、西洋由来の理論が持つ存在感は大きい。例えば、二大政党制の条件を探る時には「デュヴェルジェの法則」が出発点となり、対外政策を論じる時には「安全保障のジレンマ」という言葉が飛び交う。政治学の教科書に掲載されているのも、大部分は欧米の研究者の提唱した学説である。マルクス主義、多元主義、合理的選択理論、ジェンダー論など様々な理論が輸入されては、日本の政治の分析に用いられてきた。 それを、奇妙に感じる人もいるだろう。日本列島から何千キロも離れ、歴史や文化も異なる土地で作られた理論を、なぜ自国の政治に当てはめるのか。それは、世界を西洋とそれ以外に二分し、前者の後者に対する優位を唱える西洋中心主義の発想ではないか、と。こうした批判は、より日本に根ざした政治学を目指す動きへとつながる。 だが、そ