インターネットに掲示するにあたって 1992年に活字にした「戸籍制度」というこの論文は、「嫡出推定・否認制度の将来」以上に古い論文であるが、日本家族法理解のためには必須の情報であると考えるので、インターネットに掲示することにした。いわゆる「300日」問題が生じたのも、戸籍制度故であって、民法の嫡出推定制度の問題ではない。 日本の戸籍制度がどれほど特異な制度であるのかは、それが存在する社会の中に長年暮らしている我々には実感できない。これほどに完璧に国民の身分を把握できる制度を作り上げ、また公開原則の下で運営してきたことが、日本人の生活にとってどれほど大きな意味を持ったのか、はかりしれないものがある。 平成19年5月11日法律第35号によって戸籍法の公開原則は、従来より大幅に制限されることとなった。待たれていた必要な改正であったが、最終的な改正は、私の希望していた水準よりはかなり後退した制限と