今年は全国的に熊の出没が相次いでいる。暖かくなったこの時期は熊の交尾期でもあり、また春の訪れとともに高山植物が新芽を芽吹きはじめる時期でもあるので、本来であれば山奥深くに移動しているはずである。しかし市街地での目撃情報が増え続けているのは、個体数の増加が背景にあることは疑いがないだろう。今後もさらなる出没によって、不慮の事故が起きないことを祈るばかりだが、北海道においては、過去、もっともヒグマの出没が激増し、大きな被害を出した年がある。 筆者は『神々の復讐 人喰いヒグマたちの北海道開拓使』を上梓する過程で、明治初期から戦中戦後まで約七十年間の地元紙を通読し、ヒグマに関連する記事を拾い上げデータベース化したが、これによると、たとえば明治四十一年は、十三名が喰い殺され、負傷あるいは危険が伴うほどの至近距離で出会した事例が十八件起きた年であった。 また大正四年は、かの「苫前三毛別事件」が起きた年
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