「ゴッドハンド」(神の手)と呼ばれた脳神経外科医の福島孝徳さんが死去したことが、福島さんの公式サイトで発表された。81歳。福島さんは脳腫瘍などを開頭せずに数センチの穴から摘出する「鍵穴手術」を開発し、驚異的なペースで手術を行う一方、明治神宮宮司の二男として、白足袋を履いて手術に臨んだことで知られる。多くの患者の命を救いながら、日本人の精神を最後まで大切に守り続けた。 【写真】明治天皇と昭憲皇太后を御祭神とする明治神宮 「私は土日も手術、夏休みも正月休みも一切とらない。手術前は、『一生懸命やりますから助けてください』と神様にお祈りします。世のため人のために朝から晩まで働いていれば、必ず神様が見ていて助けてくれる。明治神宮の神様は、心のよりどころであり、支えです」 平成19年の取材で、福島さんは記者にそう語り、白足袋を身に着けて、手術室へと向かった。 「白足袋を履くのは機能性ばかりじゃない。お