両手を右に水平に伸ばし、弧を描くように頭上に掲げ、力を込めて引き下ろす。1971年、“真似ない子供はいない”と言われたほど社会現象となった、一文字隼人こと仮面ライダー2号の「変身ポーズ」である。演じたのは、佐々木剛(72)だ。あれから半世紀……。彼は現在、居酒屋を営んでいるという。東京・板橋区にある店で、ご本人から話を聞いた。 *** 東武東上線の大山駅から、商店街を8分ほど歩くとその店はあった。居酒屋『バッタもん』。仮面ライダーはバッタと同じ能力を持つことからこの名前になったという。看板は店主のイラストが描かれ、佐々木剛の店とある。コアなファンでない限り、ここが仮面ライダー2号の店とはわからないだろう。地下1階にある店の中に入ると、仮面ライダー2号のグッズや原画、色紙などが所狭しと飾られていた。 「今年の2月2日、つまり令和2年2月2日に、熊本の『アニメ特撮BAR G』で仮面ライダー2号