思い出すたびもう二度と布団から出たくないと絶望する記憶はたくさんあるが、とりわけよく思い出すもののひとつが、数年前に受けたテレビのごく短いインタビューでの出来事だ。私はたしかにそのとき小説家として呼ばれ、小説家としてカメラの前に立った。しかし、緊張してぼんやりしている私に、インタビュアーの人は「得意な家事はなんですか」と尋ねた。 家事? 私はますますぼんやりしたが、それでも自分がにやにやと笑っているのがわかった。にやにやしている私はおそらく「洗濯ですかね……」と答えたと思う。「洗濯は、洗濯機に入れるだけだから……」そんなようなことを言いながら、でも干すのはきらいだ、あれはめんどくさいと考えていた。体に、ハンガーをむりやりTシャツの襟元にねじこむときの感触が走った。 私は自分に嫌悪感をおぼえた。にやにや笑っている自分の顔を想像すると、反吐が出そうだった。私が笑ったのは、うしろめたくていてもた