今度は、「漫画の枠(ワク)」というキーワードを使って、別の視点から漫画の「キャラと世界観の関係」を語ってみたいと思います。 漫画のスケール 「枠」とは漫画のアウトラインであり、完成予想図の青写真であり、作品自体のポテンシャル、「スケールの大きさ」と呼んでもよくて、作者が「どんなことをやれるか」の範囲のようなものを表す言葉だ、と言っていいと思います。 枠が広ければ広いほど、キャラクターの活躍の範囲も増え、重厚で奥の深いドラマを展開できるようになると考えられます。「大器晩成」という言葉があるように、作品が最終的に完成した暁に想定される「器の大きさ」や「風呂敷のデカさ」が「枠」なんだ、という所で共通理解が得られればいい感じです。「大風呂敷を広げた大作」や「最初から適度なサイズにまとめた掌編」とか、色々思い付くんじゃないでしょうか。 そして、枠の広さや形は、話が進むにつれて変化したり拡張される可能
『響け!ユーフォニアム2』に見る恋愛のアレゴリーと、『やがて君になる』の百合以来、丸半年ぶりのブログ更新です。 今日は京都精華大学オープンキャンパスで行われた、竹宮惠子学長と、同大学の卒業生でもある仲谷鳰(『やがて君になる』)の対談イベントを聴講してきました。 竹宮惠子×仲谷鳰対談 「マンガにおける恋愛の描き方-性の表現」開催のお知らせ ―『風と木の詩』竹宮惠子と『やがて君になる』仲谷鳰が語る恋愛表現のこれまでとこれから― | 京都精華大学 竹宮惠子×仲谷鳰、京都精華大学で“恋愛の描き方”語る特別講義 - コミックナタリー 講義としては、大学側の司会進行によるお題に、お二方がそれぞれ答えていくというスタイルで、「影響を受けた作品」など基本的なテーマもあったのですが、今回は「恋愛表現」「BL(少年愛)」「GL(百合)」という、メインと思われる話題に絞って感想を残しておきたいと思います。 BL
■KC1巻から始まるスクランの世界 スクランの世界に流れる、ディスコミュニケーション性とは具体的にどういうものか。 それは、善意や好意をちゃんと理解して、その感謝の気持ちを本人に返す、という正常なコミュニケーションが稀にしか描かれず、その踏み外しをこそドラマの基点にしていることからも説明できる。 実際に、善意と好意に伴う感謝のシーンをKC1巻から探し出してみようか。初期の段階までなら天満も、単純に行儀の良い子として「ありがとうございます」を条件反射的に言えている(♯03,♯04参照)のだが、その天満に播磨からの好意や善意が絡み出してきた途端、想いのすれ違いが始まる。 ♯05では、テスト中の助け船が失敗に終わった(播磨の空想では感謝される図が展開されている)。 ♯06では、ラブレターによる好意が理解してもらえたものの、播磨自身は名乗り出せなかった。 ♯12では、チカンを退治して感謝されるが、
届かないよあの人まで 近くて遠い距離 どこまでも青い空 同じように見てるのに あなたにはくもり空 見えてる 気がしちゃう 〝スクランブル〟(アニメ『スクールランブル』OPテーマ) 歌:堀江由衣 with UNSCANDAL/作詞:スズーキタカユキ/編曲:UNSCANDAL これは〝スクランブル〟という曲名からも窺えるように、スズーキタカユキ(UNSCANDALリーダー)がアニメ版『スクールランブル』の為に書き下ろしたと思しき歌詞であるが、その原作作品に通底する、本質的なテーマを的確に言い表しているようにも思えてしまう。 『School Rumble』(以下スクラン)という、今なお連載中の漫画(2006年3月現在♯171,♭39の時点)を通して眺めてみると、矢神高校という学園空間で暮らす登場人物達(教師含む)の中に、両想いを達成したカップルがまだ一組も存在しないということに気付くだろう。両想
2005年12月末、有限産業すきま風の探検はらはら氏と都内で駄弁っていた時に筆者が図に描いたのが以下のようなものであった。 『週刊少年マガジン』および『マガジンSpecial』で連載中の小林尽・作の漫画『School Rumble』(以下「スクラン」)は、人間関係が非常に入り組んでいるように見えて意外とシンプルなのだということを図で表したのが拙稿≪一目でわかる『School Rumble』の恋愛関係≫であったが、しかし局所に注目すれば、やはり複雑怪奇なラブコメの様相を呈しているのだった(2006年1月現在♯160,♭35の時点)。 中心人物である周防美琴が、周囲に花井春樹、今鳥恭介、麻生広義、と美形所の男性キャラを押さえているばかりでなく、それぞれの関係者達(結城つむぎ、俵屋さつき、ララ・ゴンザレスなど)から感情の矛先を向けられている点に注目してほしい。また、図の中の三角形はそのまま三角関
先日(2005年3月某日)、ダイヤモンド三菱の加納氏とマクドナルドで駄弁っていた時に筆者が図に描いたのが以下のようなものであった。 『週刊少年マガジン』および『マガジンSpecial』で連載中の小林尽・作の漫画『School Rumble』(以下「スクラン」)は、人間関係が非常に入り組んだ、複雑怪奇極まりないラブコメだと一般に思われがちだが、意外とシンプルな構図になっていることがこれを見ればお解り頂けると思う(連載当時♯122,♭26の時点)。 つまり、 烏丸←天満←播磨←八雲←花井←美琴←今鳥←一条←ララ という、一方通行の片想いを数珠繋ぎにした関係性がまず発見できる(ここの鍵となっているキャラクターはマガスペ版の主人公である塚本八雲で、彼女は裏主人公であるといえる)。 アスキーアートで表すと以下のような感じだ。 ∧_∧ ┌──────────── ◯( ´∀
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