『チンパンジー』は5月22日に、『責任という虚構』は5月30日に読了した。まったくジャンルの違う本だが、意外にも、両者の間につながりを見つけた気がする。それは、「叙述」、「記述」をめぐる複雑な問題に関するものである。たとえば、チンパンジーでは、他の個体との近接が少ないメスが、オスよりも「非社会的」と評されることが多いらしい。これに中村は異を唱える。現在、もっとも影響力のあるチンパンジー研究者の一人であるランガムは「多くのメスはお互いに会うことはほとんどない」と述べているし、スタンフォードは「メスはほとんどの時間を自分の子供たちだけと過ごし、大きなパーティに参加することはまれである」と述べている。男は広い社会の中で仕事をし(=社会的)、女は家の中で子育てと家事に追われる(非社会的に)という、どこかで見る図式によく似ている。飼育下のチンパンジー研究の第一人者であるド・ヴァールにいたっては、「(