前回のエントリでは、明27.6以降の準備正貨減少についてみた。正貨減少は、財務当局に危機意識を生じさせた。 明27.11.15、日銀総裁は蔵相宛て、外征の進展に伴う戦線の拡大は、多くの正貨支出を伴うとして、正貨の節減を図るため、「軍事手形」の使用を蔵相に提議した(ref:A01200777300)。 外征事件ハ皇軍ノ連捷ニ従ヒ益々其区域ヲ拡メ軍資ノ需要日ニ多キヲ加フルト共ニ正貨ノ支出モ亦次第ニ多額ニ上ルハ自然ノ勢ニ有之 皇軍次第ニ敵地ニ深入スルニ従ヒ正貨ノ需要其額益々増加シテ準備正貨ニ著シキ減少ヲ来シ為メニ兌換制度ノ基礎ヲシテ或ハ薄弱ナラシムルガ如キコト無カルベキ歟ト痛心苦慮仕候就テハ此危害ヲ未然ニ予防スルニハ内ニ向テハ為シ得ラルヽ丈ケ正貨ノ使用ヲ節約シ外ニ向テハ大ニ力ヲ貿易上ニ用ヰテ銀貨回収ノ策ヲ講スベキコト最モ緊要ナリト思考仕候 占領地ニ対シテ使行スル貨幣ニハ一種ノ軍事手形ナルモノヲ発