自民党総裁選で安倍晋三元首相が新総裁に選出されたことに経済界からは歓迎の声が上がった。震災復興や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など「国家の命運がかかる課題」(岡村正・日本商工会議所会頭)に直面していながら、思うような成果を上げていない現政権に経済界のいらだちが募っているからだ。 ◆貿易環境の改善要望 「政策に精通し豊富な経験と実力を持つリーダーだ」。経団連の米倉弘昌会長は安倍氏をこう評価した。岡村会頭は「(元首相としての)経験を生かし、決断と実行の政治を期待する」とコメント。日本経済を覆う閉塞(へいそく)感の解消を切望する企業の声がにじみ出た形だ。 欧州債務危機や円高に加え、最大の貿易相手国である中国との関係は悪化。特例公債法案や選挙制度改革法案などが成立せず「国政運営に支障をきたしている」(長谷川閑史・経済同友会代表幹事)ことに経済界の危機感は強まっている。長谷川代表幹事は「安全保