歩行者の間を猛スピードですり抜ける自転車。携帯電話を操作したり、イヤホンで音楽を聴いたりの「ながら運転」―。東日本大震災後、通勤通学で自転車に乗り換える人が増える中、交通ルールを無視した運転も後を絶たない。警察庁は先月、歩道走行を事実上容認してきた従来の路線を変え、車道走行の原則徹底を打ち出した。悪質な行為に交通切符(赤切符)で摘発するよう全国の警察に指示、県警も取り締まりの強化に乗り出している。 ■にらまれ、杖折られ 「とにかく後ろから来る自転車が怖い」。聴覚障害がある横浜市鶴見区の須山優江さん(62)は歩道で度々危険な目に遭った。 補聴器を使っているが、後方からのベル音などは聞こえにくい。追い越しざまににらまれたり、暴言を吐かれたりすることはしょっちゅうある。「一歩間違うと本当に危険。後ろを振り向く癖がついた。安心して歩きたい。ただそれだけです」と訴える。 視覚障害者の池田信義