このところ、通信業界に不穏な気配が漂っている。 例えば去る2011年5月13日、米国格付け機関大手のムーディーズが、NTTおよびNTTドコモの長期債務をネガティブに見直すと発表した。国内企業最高益を弾き出した企業を格下げするという不可解な事態に、筆者自身は同意できない。ただ格付け機関の論理では、通信セクター全体が踊り場にさしかかったタイミングでのデットファイナンスによる大規模な資金調達は、財務の健全性に好ましからざる影響を及ぼす、ということなのかもしれない。 NTTやKDDIは過去10年近く、順調な業績を背景に債務の圧縮と株主資本の積み上げを進め、健全な財務体質を維持してきた。しかしここに来てLTE(Long Term Evolution)など次世代インフラや震災復旧に大規模な設備投資が必要になる一方で、市場は飽和しつつある。仮に格付け機関がそう懸念しているならば、相応の反論を用意しなけれ
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