[第6回] なぜ東大からノーベル賞が出にくいか 「四行教授」のぬるま湯の罪 黒川清 Kiyoshi Kurokawa 政策研究大学院大教授 黒川清氏 08年秋、ノーベル物理学賞と化学賞を、日本で生まれ育った4人の科学者が受賞した。 米国籍の南部陽一郎氏を含め、自然科学分野で日本出身の受賞者はこれで13人。しかし、研究拠点を考えると、東大で研究した自然科学分野の受賞者は小柴昌俊氏しかいない。東大出身のノーベル賞科学者には、南部氏と江崎玲於奈氏もいるが、南部氏は大阪市立大、米プリンストン高等研究所、シカゴ大などで研究。江崎氏は民間企業で研究者としての道を歩んだ。 伊東乾氏が『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新書)でも述べているように、「専門的に高い業績さえ上げればノーベル賞が来る」わけではなく、国際政治や世界状況が反映する。しかし、当然ながら世界的なレベルの研究成果がなければ、可能性はない。