「君たち、よい結婚というものは果たしてどういうものだと思うかね?」 これは僕が駿台予備校で浪人していた頃に聞いた話の1つだ。この雑談は僕の人生で、最も役に立った話の1つである。 僕はその当時、結婚というと好きな人と恋愛の果てにするものだという漠然としたイメージをもっていた。なので後述する彼が定義する「よい結婚」の条件を聞いて随分と奇妙な印象を抱いたのを今でもよく覚えている。 彼は続いて以下のような話をした。 「君たちのご両親はなんで結婚したんだと思う?」 「好きだから?相手が愛してくれるから?」 「違うよ。この人となら50年位は一緒に生活していける、って思ったからだよ」 先述したとおり、その頃の自分は恋愛の末に訪れるものが結婚だと思っていた。 故にこの予備校講師の結婚論が当初、随分と奇妙に思えた。「50年位は一緒に生活していける」って、どういう事か訳がわからんわって感じにね。 けど後に何度
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