オブジェクト指向分析・設計の基本は,適切な「モデル」を作成することである。ここではオブジェクト指向に基づいた分析・設計手法の難しさを述べるとともに,具体的なモデルの内容,作成手順を解説する。オブジェクト指向では「分析―設計―実装」を反復することで開発を進める。 近年のオブジェクト指向の広がりには,目を見張るものがある。例えばオブジェクト指向の分析・設計モデルを作成する「UML(Unified Modeling Language)」の解説書や雑誌の記事は,今や世にあふれている。加えてUMLによる分析・設計スキルを認定する資格が登場するなど,オブジェクト指向の認知度は確実に向上していると言えよう。 しかし,オブジェクト指向関連製品や技術がこれだけ普及しているのとは裏腹に,その基本原理であるはずのオブジェクト指向分析・設計技法が正しく実践されているとは言えない。UMLとJavaを使ってシステムを