4月9日の記者会見では、小保方晴子は、ひたすらと科学に明るくない国民、つまり95%以上の国民に向かって話し続けた。逆に、世界中でSTAP細胞を再現しようとして、失敗してしまった、幹細胞研究の専門家たちには、何ひとつ新しい情報を話さなかった。つまり、新しいデータは何一つ示されず、全ては彼女の耳触りのいい言葉だけが垂れ流されたのである。これでは科学者ではなく、まるで政治家だ。 ところが,国民の多くが、彼女の言葉に聞き入り、そして卓越した表現力に見入った。インターネット調査などによると、なんと半数以上の視聴者が、彼女の「STAP細胞はありまぁす!」という言葉を、そのまま信じるとの調査結果になった。 僕はこうした大衆の、感情に頼り、まったくファクトを見ない態度にいささかうんざりしたのだが、それでも、これでSTAP細胞捏造問題はひとまず収束してくれるだろう、と思った。理研の調査委員会が捏造と判断した