不動産は持っていて損はないと言っていた時代のことを覚えておられますか。昭和48年の石油ショック当時、私は不動産会社に勤務していました。当時、不動産、特に土地は無くなることがないのだから、持っていても損はないという信念がありました。今、私にはそれがなくなり始めています そもそも国家は、この不動産神話によって成立し、それを法律構成し、税制を作っております。国の税収を支える固定資産税のことなど些細なことです。そもそも領土こそが国家の前提事項です。それが世界の共通認識でした。 すなわち我が国に限定して見てみましても国取り合戦によって歴史が作られてきました。土地に対する信仰は尖閣列島を巡る問題をお話ししなくても、国の制度の骨幹であり、それを基本にして法律もできております。我妻栄という偉い民法学者の先生の教科書を今回見直しました。不動産の放棄についてはきちんと触れてありません。解釈論はおろか、その来歴