稲葉浩志とスティーヴィー・サラスによって誕生した『CHUBBY GROOVE』は、“稲葉浩志が歌うファンクロック”という大方が思い描いた作風をサラリと飛び越え、ノリの良いハード&キャッチーなグルーヴ感あふれる作品となっていた。これは、ひとえに“これまでに聴いたことのない稲葉浩志の世界を生み出そう”とコンセプトを掲げた、スティーヴィー・サラスの明確なプロデュース・ワークによるものだ。 ◆INABA / SALAS 画像 そしてそれが完成するに至った重要なポイントに、その高度な要求に120%応えるべくスティーヴィーの描くサウンドへ身を寄せることに徹底した、稲葉浩志の決意の固さと懐の深さがある。30年にも及ぶ活動から積み上げてきたシンガーとしてのセオリーや表現手法という伝家の宝刀を抜くことなく、スティーヴィーの要求にひとつひとつ手探りながら応えることで、誰も知らない稲葉浩志の側面が顔を覗かせた。