歴史的に見ると、中国は自然に恵まれ概ね豊かな国だったと言える。時たま大量の餓死者が出た時期もあったが、それは自然災害が原因というよりも戦争や政治の失策によるところが大きい。 近代に入ってから中国では幾度となく海外への移民ラッシュが起きた。故郷での生活に不満を持ち、海外に新天地を求めた人々だ。清の時代、移民が主に向かったのはマレーシアなどの東南アジアだった。中国からの移民を受け入れる国は、労働力不足を解消するのが主な目的だった。 1949年、社会主義中国が建国されてから、国民の海外移民が原則として禁止された。共産党の立場としては、社会主義はこの世の中で最も素晴らしい社会制度であり、社会主義を見捨てる移民は社会主義の素晴らしさを否定するような行為であり許されるものではない、というものだった。 しかし、実際の社会主義社会は政府が自画自賛するほど素晴らしいものではなかった。実際に、文化大革命(19