仕事の都合で別の業種の女性と幾度か会った。弊社の人間が、と彼女は言った。弊社の人間が幾人かマキノさんをお呼びしたいというので、飲み会にいらしてください。 私は出かけていった。私は知らない人にかこまれるのが嫌いではない。知らない人は意味のわからないことをするのでその意味を考えると少し楽しいし、「世の中にはいろいろな人がいる」と思うとなんだか安心する。たいていはその場かぎりだから気も楽だし。 彼らは声と身振りが大きく、話しぶりが流暢で、たいそう親しい者同士みたいな雰囲気を醸し出していた。私を連れてきた女性はあっというまにその場にすっぽりはまりこんだ。私は感心した。彼女は私とふたりのときには同僚たちに対していささかの冷淡さを感じさせる話しかたをしていた。 どちらがほんとうということもあるまい。さっとなじんで、ぱっと出る。そういうことができるのである。人に向ける顔にバリエーションがあるのだ。私は自
京都大学をはじめとする有名大学で、入学試験開始から間もない時間帯に入試問題がYahooの質問サイトに投稿されました。そしてすぐに誰かがその入試問題の解答を投稿しました。このインターネットを使った新しいタイプのカンニングに対してネットで大きな話題になりました。そしてテレビなどのマスメディアでも大々的に報道されました。 この問題に対して、僕はそんな騒ぐほどの問題かと冷めた目で見ていました。もっと報道するべき重要なニュースが多数あるのに、なぜこんなくだらないことをトップニュースで毎日扱うのかとうんざりしていたのです。確かにカンニングは不正ですが、バレたら、バレた人が合格点をとっても不合格になるだけで、それだけの問題です。大人に叱られれば済む程度の問題だし、そもそも僕の大学生活を思い出しても、日本の大学ではテストで単位をとるためのカンニングはありふれた出来事でした。大学側もたまに見せしめで捕まえて
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